食肉の歴史(豚肉編)
江戸時代に入り、長崎県の出島ではオランダ人によって自給自足のため豚の飼育が行われていたと言われていますが、養豚業が始まったのは明治時代に入ってからです。
時の内務大臣大久保利通は国内の畜産の振興を図る目的で畜産指導所を設置し、徳川幕府を離れた士族の救済とか畜産物の消費を伸ばし、体力増強を図るべく諸施策を推進したと言われています。
政府養豚奨励の施策も一進一退を繰り返しましたが、明治20年頃に再び隆隆の兆しが出始めました。養豚事業が産業としての地位を築いたのは大正時代に入ってからです。
したがいまして、豚肉の生産や消費の歴史は比較的近時のものです。店頭に並ぶ前は、西洋料理店の台頭によって、一般消費者の需要を喚起したという経緯があります。当初は高級品で一般庶民には高嶺の花でした。明治30年頃から西洋料理店といった看板を出して、廉価に提供したために大変な流行となりました。
現在、日本では年間400万頭前後と畜されていますので、とても比較の対象ではありませんが、明治40年に東京でと畜された豚は約3万7千頭でしたが、明治45年には6万2千頭と約倍に消費が拡大しています。当時の一品西洋料理店の数から推算して、このうち約半数がこれらの店で消費されていたと考えられます。
大正の初期、一品料理で最も人気があったポークカツレツは、浅草あたりで「とんカツ」と呼ばれ、ころものつけ方は現代とほぼ変わることなく、東京の生んだ著名な郷土料理となったことは意外にも知られていないことです。
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豚肉と言えばまずは「ハム」ですね
ハムの歴史は古く、紀元前一千年ぐらいまで遡ることができるようです。ギリシャのホメロスの時代に、すでに薫製や塩漬け肉のことが詩の中に登場します。このあたりがハムやベーコンの起源、あるいは原型であろうと言われています。一方で、中国の大腿(ホートイ)と言われるものがハムなどの起源ではないかという説もあります。
いずれにしても、加工肉の起源は、人間が肉を食するようになり、塩に漬けることを知り、燻煙する技術が身に付いたときに始まり、ギリシャだけでなく、世界各国で食用に供されるようになったと考えて良いでしょう。
日本で最初に加工肉が作り出されたのが、明治5年とされています。記録によると、長崎の片岡伊右衛門という人がハムを作ったとあります。。
また、いわゆる「鎌倉ハム」は、明治7年にイギリス人のウイリアム・カーティスが鎌倉(今の戸塚付近)でハムやベーコンを作りましたが、この技法をまねて作ったハムで、その地域一帯で作られるものを総称した名称です。
さらに、ソーセージについては、第1次世界大戦で日本の捕虜になったドイツ人が作ったのが初めてといわれ、それが現在の形で残っています。
一口にハム・ソーセージと言っても、その種類は非常に多くあります。現在、日本で作られている種類はおよそ150種類ほどになるようです。
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豚肉部位別料理用途
豚肉は生まれてから6ヶ月ほどで精肉に仕上げられるために味が薄く、肉そのものの味を楽しむ牛肉料理と異なり、調理の過程で十分に味付けする必要があります。
また、豚肉は生のままとか、生焼けは絶対禁物です。完全に火を通し、特に厚切り肉を調理するステーキやカツレツでは芯までじっくり火を通す必要があります。
| 部位名 | 細分名 | 料理用途 |
|---|---|---|
| 肩 | カタロース | カツレツ、焼豚、すきやき、煮込み |
| うで | 薄切り肉料理、煮込み、ひき肉料理 | |
| かたばら | 薄切り肉料理、煮込み、ひき肉料理 | |
| ネック・すね | ひき肉料理 | |
| ロース | ステーキ、カツレツ、焼き肉、ロースト | |
| ばら | 角煮、シチュー、カレー、豚汁 | |
| もも | うちもも | カツレツ、ロースト、角切り肉料理、薄切り肉料理 |
| しんたま | ||
| そともも | ||
| ヒレ | カツレツ、ロースト、ステーキ、煮込み | |
肥育する品種の大型化や均一化と、配合飼料などでの多頭肥育がほとんどになった現在、枝肉による脂肪の付き具合には部位により差異がありますが、肉質の硬軟などは牛肉に比べるとほとんど差異がないのが豚肉の特徴でもあります。![]()
カットの基本(牛・豚共通)
左:ソテーカット—ソテーや焼き肉に用いられるカットの方法です。筋肉繊維に対して斜めに切るのが特徴です。他の切り方に比べて火の通りは平均的です。
中央:カツカット—カツや中華料理などに用いられる切り方です。筋肉繊維に対して平行に包丁を入れます。ゆっくり火が通ることやカツにすると肉が曲がらないという特徴があります。
右:ステーキカット—ステーキや焼き肉に用いられるオーソドックスな切り方です。筋肉繊維に直角に包丁を入れます。他の切り方に比べ、早く火が通ります。
(青い矢印は切る方向、黄色い矢印は筋肉繊維の方向を示しています。)


左:ペンシルカット—鉛筆を削る要領でカットします。オードブル系の肉料理に使われることの多い切り方です。
中央:スティックカット—筋肉繊維に沿って棒状にカットします。揚げても、炒めても、曲がらず縮まらないのが特徴です。唐揚げや中華の炒めものなどに向いています。
右:ダイスカット—サイコロステーキやシチューなどの煮込み、あるいはバーベキューなどに向いている切り方です。いわゆる角切りという奴です。
(青い矢印は切る方向、黄色い矢印は筋肉繊維の方向を示しています。)


カットしたときの肉の厚さは、意外に味ややわらかさに関係があります。例えば、焼き肉なら少なくとも3mm以上、5mmはほしいものです。5mmあると十分にお肉の旨味を味わうことが出来ます。![]()
カッティングの基本的な厚さ
| 肉料理名称 | 肉の厚さ | 肉料理名称 | 肉の厚さ |
|---|---|---|---|
| すきやき・しゃぶしゃぶ | 1〜3mm | 生姜焼き・照焼き | 0.7〜1cm |
| 焼き肉 | 5mm | 薄切りステーキ | 1.5cm |
| ステーキ | 2.5cm | ニューヨークステーキ | 3〜4cm |
| ブロックロースト | 5cm以上 | 薄切りステーキ | 1.5cm |
| 本格派シチュー | 4〜5cm角 | 普段のシチュー | 1.5〜2cm角 |
| 本格派カレー | 3cm角 | 普段のカレー | 小間切れ |
串の種類
豚肉のみならず、焼き鳥はもちろんのこと、バーベキューなどにも使う串をちょっと調べてみました。
(A)はもっともポピュラーな竹串です。(B)は鉄砲串と言われます。(C)はステンレスブロシェット用です。バーベキューなどにちょっと豪華さがあります。(D)ブロシェット用、大きいものが多く、ダイナミックな演出には持ってこいです。
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ハムの種類と特徴
JASの規格で分けると、ハムは6種類になります。骨付きハム(ボン・イン・ハム)、ボンレスハム、ロースハム、ショルダーハム、ベリーハム、ラックスハムになります。
<骨付ハム—ボン・イン・ハム>
豚のもも部を骨付きのまま塩漬けにし、十分に乾燥させたあと、薫製しただけのものです。
<ボンレスハム>
豚のもも肉を原料として、円筒形俵状に加工したものです。「巻きハム」という別称があります。通常は丸ボンレスですが、直立体にした角ボンレスや平にしたフレンチハムもこの種類に入ります。
<ロースハム>
豚のロース肉で作られたものを指します。大きな赤肉を5mm程度の脂肪層が包んでいる円筒形で、通常はやや細長くできています。
<ショルダーハム>
豚の肩肉でロースハムと同じように作られたものです。
<ベリーハム>
豚のバラ肉(ベーコン部)をロースハムの要領で作られたハムです。
<ラックスハム—生ハム>
豚のロースや肩あるいはもも肉をケーシング詰めしてから、十分に乾燥・薫製しただけのもので、鮮やかなピンク色をしています。一般的には「生ハム」と言われています。![]()
ベーコンの種類と特徴
ベーコンはJAS規格によりますと、ベーコン、ロースベーコン、ショルダーベーコン、ミドルベーコン、サイドベーコンの5種類に分けられています。
<ベーコン>
豚のバラ肉を整形したあと塩漬けにし、長時間をかけて薫製したものです。バラ肉は3枚肉とも言われ、赤肉と脂肪層が交互にあり、その厚さが均一なものほど高級とされています。
<ロースベーコン>
豚のロース肉をそのままベーコンと同じような方法で作られたものです。比較的赤肉が多く、カナディアンベーコンとも呼ばれています。骨付きのものはカスラーベーコンと呼ばれ、ロースベーコンと区別することがあります。
<ショルダーベーコン>
豚の肩肉でベーコンと同じ要領で作られたものです。形はまちまちです。
<ミドルベーコン>
輸入品が若干出回っているようですが、わが国では馴染みのないベーコンです。
<サイドベーコン>
ミドルベーコンと同様に、輸入品にたまに見られる程度です。![]()
プレスハムと混合プレスハム
プレスハムは「ハム」とは呼ばれていますが、本来はソーセージの仲間と言って良いでしょう。わが国ではプレスハムの消費量が食肉加工品の中でもっとも大きな比重を占めています。そのため、この消費量に見合って生産量も多く、JASの規格もソーセージとは別個に定められています。
<プレスハム>
プレスハムは豚肉または各種の畜肉を混ぜたもので、そのつなぎが20%以下に定められています。したがいまして、プレスハムの原料肉は結着力が強いことが要求されます。ハムの外観に良く似ています。
<混合プレスハム>
混合プレスハムは魚肉の占める割合が50%以下のものを対象としています。つまり、肉類が50%以上あることが条件となるハムになります。![]()
ソーセージ&混合ソーセージ
JAS規格によりますと、ポークソーセージ、ウインナーソーセージ、フランクフルトソーセージ、リオナソーセージ、ボロニアソーセージ、サラミソーセージ、ドライソーセージ、セミドライソーセージ、レバーソーセージ、レバーペーストの10種類になります。
<ポークソーセージ>
豚肉だけを原料にした高級なもので、豚のひき肉に、豚脂肪、調味料、香辛料を加えてから充分に練り合わせてから、ケーシングに充填、薫製してから湯煮したものです。ケーシングは豚腸が主となります。
<ウインナーソーセージ>
畜肉を原料にして羊腸に詰め、1本10cmほどの長さにして数珠つなぎにしてあるものが一般的です。もっともポピュラーなソーセージです。カクテルウインナーソーセージと呼ばれるものは、1本が5cm程度に小さく作られたもので、人工ケーシングに詰められているものが多く出回っております。
<フランクフルトソーセージ>
原料や製法などはウインナーソーセージと変わらないのですが、ケーシングは豚腸を用いていて、15cmほどの間隔でねじってあるのが特徴です。
<リオナソーセージ>
豚肉と牛肉だけを原料としたもので、製法は他のソーセージと変わりません。さいの目にカットした豚脂肪とグリンピースを加えたものが多く、丸形は太さが直径8cm以上もあり、また角形のものもあります。
<ボロニアソーセージ>
一般に角形ソーセージと言われるもののほとんどがこのボロニアソーセージです。原料、配合、製造過程はウインナーソーセージと同じですが、牛大腸または人工ケーシングに詰め、長さ20〜25cmにしてあります。![]()
<サラミソーセージ>
本来はドライソーセージに含まれるものです。塩漬けした赤肉を粗挽きし、豚脂肪をさいの目に切って混ぜ合わせ、温度10度、湿度70〜75%で約3ヶ月間乾燥して作ります。一般的な配合比率は牛40、豚30、豚脂肪30で、粗挽きコショウ、にんにく、ラム酒など香辛料が使われていることが、他の食肉加工品に見られない特徴です。
<ドライソーセージ>
各種の畜肉を原料とした乾燥製品の総称で、サラミ系とセルベラート系があります。
<セミドライソーセージ>
ドライソーセージより水分含有量がやや多い半乾燥製品です。乾燥、熟成期間は短いのですが、水煮後に乾燥するのが特徴です。JAS規格では水分含有量が55%以下となっています。クックドサラミ、カシアーサラミ、モルタデラなどの種類があります。
<レバーソーセージ>
家畜の肝臓をすりつぶして、これに畜肉や豚脂肪を加えて練り合わせ、ケーシングに充填、乾燥、燻煙、湯煮したものです。柔らかいペースト型と堅いソーセージ型があります。
<混合ソーセージ>
魚肉が入っているボロニア風ソーセージです。他のソーセージと比べると安価です。![]()
ソーセージ原料肉配分例
| 種類名称 | ポーク | ウインナー | ボロニア | サラミ | レバー |
|---|---|---|---|---|---|
| 豚赤肉 | 60 | 20 | 30 | 30 | 20 |
| 牛肉 | — | 20 | 10 | 50 | — |
| マトン | — | 30 | 30 | — | — |
| 肝臓 | — | — | — | — | 20 |
| 内蔵類 | — | 10 | 10 | — | 50 |
| 豚脂肪 | 20 | — | — | 20 | 10 |
| 氷水 | 10 | 20 | 20 | — | — |
| その他 | — | (澱粉等) | (澱粉等) | — | — |
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豚の種類と特徴
豚はイノシシから家畜化されたものです。中国では4,800年、エジプトでは3,500年ほどの養豚の歴史があります。
豚の品種はアジアイノシシを祖先とするアジア種と、ヨーロッパイノシシを祖先とするヨーロッパ種があります。両者の交雑によって欧米各地でさまざまな改良種が成立しました。食用とされるのは、その用途によって、脂肪型(ラードタイプ)、加工型(ベーコンタイプ)、生肉型(ポークタイプ)の3つに分けられます。しかし、現在では脂肪型のラードタイプはほとんど飼育されていません。
ヨークシャー種
イギリスのヨークシャー地方で改良に成功した白豚で、生肉用に向く品種です。ヨークシャーの特徴は、その体の大きさが中くらいで、胴体は長円形、しかも四肢は短直となっており、ももの肉付きが非常に良く、肉質も良好なところです。
バークシャー種
イギリスのバークシャー地方で改良され成立したものです。体質がきわめて強健で早熟、しかも肥満しやすいとされているのに、骨格が細いという特徴を持っています。肉質がやや脂肪がちになりやすいという点も兼ね備えております。
ランドレース種
アメリカで改良され成立したもので、特に加工用に改良されたもので、ベーコンタイプの豚になります。近年、日本でもこの品種の飼育が非常に盛んになってきております。
ハンプシャー種
大型の豚で、発育がすこぶる良好で、頭・頸は軽く、後駆がよく発達しているのが大きな特徴です。体の上線は頭から尻までアーチ状を呈し、体下線は平直で、おおむね半月状をしています。色は黒く、肩・胸および前肢に続く白い帯があります。




